評価制度を通じて大切にしたいことは、会社と社員の皆様とのコミュニケーションです。
評価終了後には必ずフィードバック面談を実施し、頑張ってくれたことの感謝を伝える場、そして今後取り組みを強化してほしいことなどについて話し合う場を設けます。結果として、社員皆様自身の成長、そして会社の成長へとつなげていくことを一番の目的としています。

評価制度はコミュニケーション作りの場です。

社内の評価体制について

原則として直属の上司が一次評価者、統括部長や社長が最終評価者とする体制をとっています。
具体的には、以下の表の通りです。
例:一般職の人の場合
一次評価者は直属の上司。
最終評価者は、統括部長・社長(一次評価者の結果を基に、最終評価を決定します。)
フィードバック面談は、直属の上司のほか、立ち合い役として統括部長や社長が同席して行います。

等級基準表

当社の等級基準表は、次のページの通りです。
どのレベルの社員が、どのような役割、結果を期待されているのかが表されています。
また、この表が、社員一人一人のキャリアアップのイメージ図にもなります。
キャリアアップにおける昇格、降格とは、以下のことを言います。
●昇格(降格)とは
昇格とは、等級が上がること(1等級から2等級へ、など)、逆に降格とは等級が下がることをいいます。
評価を通じ、求められる仕事のレベルや、それに対する結果を基に、昇格、降格を判断します。
●昇格の決定の方法
「昇格の判断」の列を参照してください。評価や上司の推薦、会社組織の状況により、決定します。
●降格について
望ましいことではありませんが、どうしても評価が所属しているレベルに達しない場合などは、降格を命ずる場合があります。レベル表を見て、自身が期待されていること、目標や求める結果を意識して、お仕事に臨んでください。会社は社員の皆様のレベルアップを支援します。

評価シート

評価項目については、多数の評価項目キーワードの中から、特に重要な項目9項目を絞って決めた内容です。

この評価項目については、「今年、特に重要な項目」として、毎年検討を重ねていきます。
皆さんは「今、会社が最も重要視していることが評価シートに記載されている」ということを意識して、日々の仕事に臨んでください。

そして、1項目、自分で項目を選べるようになっています。
自身で意識したいことを選び、上司と相談して個人枠の1項目を決めてください。

年間スケジュールの作成

賞与の時期に合わせて年に二回のところもありますし、年に一回というところもあります。会社の状況に合わせて決めて頂いて大丈夫です。対象期間、昇格・降格の時期なども合わせて検討しましょう

評価の付け方のルール

異動者・中途入社等の評価対象期間については、原則として以下の基準とします。
ただし様々なケースがあることから、事情を考慮し、個別に判断する場合もあります。
【中途入社の場合】
半期(6ヶ月)のうち、4カ月以上、評価期間がある場合に、対象とする。
(4カ月に満たない者は、評価対象外。
ただし、フィードバック面談は原則として全員行う。)
【異動者】
・半期(6ヶ月)のうち、3カ月以上、在籍していた部署で、評価を行う。

・2つの部署でちょうど3ヶ月ずつの場合は、前後の部署でそれぞれ評価を行い、それぞれの評価の平均値を評価点とする。
 (例)
 異動前の部署での評価点が60点、異動後の部署での評価点が70点の場合
  ⇒ 一次評価の評価点は、65点とする。

・部署異動が重なり、いずれの部署も3ヶ月に満たない場合は、原則として最後の部署で評価を行う。ただし様々なケースがあることから、個別に判断をする場合がある。
【産休、育休の期間が入った場合】
半期(6ヶ月)のうち、4カ月以上、評価期間がある場合に、対象とする。
(4カ月に満たない者は、評価対象外。ただし、フィードバック面談は原則として全員行う。)

評価の付け方のルール

★相対評価とは?

「周りの人と比較して、競争で点数を付ける評価の仕方」です。
例えば、一つの評価項目について、以下の図のように、評価する集団のうち、上位5パーセントは5点、その次の20%位が4点、半分くらいは3点、・・・」というように、順位によって評価点を付ける方法です。

(評価項目の例)上司の指示・命令や諸規則を守り、職場の秩序向上に努めていたか?
★絶対評価とは?

評価する基準が決まっており、この評価基準に照らしてどの段階であったかを評価すします。

(例)上司の指示・命令や諸規則を守り、職場の秩序向上に努めていたか?
周囲と比較せず、「その人がどうだったか?」を見て評点します。したがって、全員5点になってもよいし、1点であっても構いません。絶対基準で評価する方法を「絶対評価」といいます。

フィードバック面談について

【面談の目的】
① 改まった場での「上司」と「部下」のコミュニケーションの場づくり
② 褒める。
③ できていないことがあれば、伝え、改善を促す。
  今後の目標を伝える。
【評価の伝え方のルール】
評価の点数を伝えるのか伝えないのか
【面談の「ゴール」を決めて臨むこと】
(ゴールの例)
●技術の向上への努力をしてほしい(能力UPしてほしい)ため、その部分の目標を持たせる。
●協調性を持ってもらうようにしたい。
●後輩への指導を、もっと頑張ってもらえるようにしたい。
●「出してほしい成果」をはっきりと伝える!

最後に

評価制度とは評価をすることももちろんですが、コミュニケーションの場づくり、はっきり言える環境づくりの場と考えられると導入しやすいと思います。また評価する人と評価される人との関係性も重要です。リーダー、管理職の育成にも使える制度となりますので、ぜひご検討頂ければと思います。

埼玉県さいたま市 介護事業所での評価制度導入事例

埼玉県さいたま市に拠点のある、社会福祉法人の特別養護老人ホームで、評価制度の見直し支援をし、大成功しました。導入の背景は、以下の通りです。

  • 職員の公正な処遇の決め方、人材育成、また職員から「評価をしっかりと行ってほしい」という声に応えるため、2年前に、キャリアパス制度・評価制度を導入した。

しかし・・・どのリーダーも全員に対して高評価をしてしまい、結果をどう、評価を受けた側に伝えるのかが分からず、面談をできずにいた。

結局、評価は毎年行うものの、形だけになってしまい、逆に不満の種になっていた。主な理由を分析すると、以下のことが分かりました。

  • 評価者ごとに、評価の基準がバラバラ。
  • 悪い評価をつけたら、人間関係が壊れそう。
  • どう、評価を相手に伝えるかが分からない。(自己評価が高い人に、「悪い評価」をどう伝えるか?)

そこで、以下の2点の取り組みを行いました。

①評価シートの見直しを行った。

② 「フィードバック面接シート」を活用して、フィードバックを行うようにした。その他、評価のルールブックを作成し、制度全般を見直しました。

色々な効果がありましたが、リーダーの方からは、以下の感想を頂きました。

【評価制度を見直した結果の、評価面談後の主な感想】

  • (教わった評価面談のやり方を通して)改まった話し合い場を設けることができて、よかった。
  • 褒めることが今までできていなかったことに気付いた。
  • いつも、問題のある職員ばかりと面談をしていて、できる職員はほったらかしになり、結局できる職員が退職していってしまう、ということが続いていたので、忙しい中でも、「話す場」は作らないといけないと思った。

⇒「「聴く」機会を設けることにより、退職者が減りました。」

  • 多くの職員が、面談で言われたことを、がんばって取り組んでくれていて、職場の雰囲気がよくなった。 ただ、しばらくすると元に戻る人もいたため、継続が課題です。
  • なにより、管理職自身が、一番成長しました。(自然とリーダーシップが取れる環境に。)

 

結果として、見直し後2年間で、離職率の大幅な低下、また退職者が減ったことによる採用難からの解放、大幅な採用コストの削減、更に良い人材が獲得できる、という、好循環が生まれました。