就業規則関連

就業規則の重要性

年々増加する労使トラブル、行政で把握しているだけでも年間で100万件以上発生しています。労務トラブルが起きると、人事担当者は本業に集中できず、その金銭的・時間的コストは多大なものになります。

企業として準備しておくべきことは、予期せぬトラブルが起きてしまった際や問題社員が出てしまった際に、「就業規則第〇条第〇項に反するため、就業規則第〇条に基づき、対応します。」といった、根拠に基づいた実務対応を行うことができるかどうかが、会社やその他の従業員を守るために大切になってきます。

労使トラブルが起きた際の守りが大切

労使トラブルは、ある時期から、急増しています。

平成14年度では約60万件だった相談件数が、平成21年度では114万件と、わずか数年間で、倍近くの件数になっています。 なぜ、この期間にここまで激増したのでしょうか?

様々な要因が挙げられますが、一つは、「インターネットの普及により、誰でも簡単に労働法に関する知識を得ることができるようになったということも、大きな要因と言えるでしょう。良くも悪くも、誰もが簡単に法律知識に簡単に触れることができるようになったのです。

令和の最初に取り組まれた「働き方改革」をはじめ、人口構造の変化やライフスタイルの変化により、それに合わせた形で、労働法制もめまぐるしく改正が行われています。当然会社の就業規則も、法改正に合わせていかなければなりません。労使トラブルが起こった際、「簡単に知識を得ることができる」世の中ですので、企業としては、例えば問題社員が現れてしまった際、その人に知識で負けると、後手後手に回ってしまうことが多いのです。労使トラブルが起きたとき、突然、法律事務所から「就業規則と雇用契約書を全て出してください」と、通知が届くことがあります。大抵、何百万円もの請求額が書かれていることが多く、その通知書に焦って相談に来られる方を何人も見てきました。その際に、堂々と立ち向かうことができるかどうかが、大切なのです。

企業が準備しておくべき労務管理とは?

具体的には、以下の2点が、まず取り組むべき内容になります。

 ①ルールを明確にした労働契約書(雇用契約書)を、しっかりと交わしておく

 ②自社に合った就業規則を作成しておく(ひな形はダメ!)

なお、「数ある労働関係の法律をすべて抜け目なく守る」というのは、はっきりいって現実的に難しいものがあります。ただ、守り抜くことが難しい中でも、「現時点で会社としてできることはここまで」、「最低でも、この部分のコンプライアンスは必ず守る(例えば最低賃金など)」等、会社の現状との兼ね合いも、大切なところです。

5人の会社と、1000人の会社、また非上場の会社と上場会社と、など、適用される法律は同じでも、「守りどころ」は全く違うのです。

そういう意味で、自社に合った就業規則が大切になってくるのです。

「働きやすい職場づくり」のためにも大切

「問題社員のため」だけでなく、「みんなが働きやすく、そして生産性を上げるため」にも、就業規則は大切なものになります。

年次有給休暇や結婚、出産等、お祝いの時、もしくは遺族のご不幸があった際の特別休暇、慶弔見舞金に関すること、自由な働き方を認めるフレックスタイム制、短時間でも正社員になれる短時間正社員制度、など、従業員の働きやすい環境づくりのためにも、「こういう時は、こうする」という一律のルールが必要になります。また、自由な働き方を認めると、権利ばかりを主張してくる人が出てきてしまうことがあるのですが、そういう人たちを取り締まる意味でも、一律のルールが必要になるでしょう。

人手不足により、多様な働き方が必要になっている昨今では、より、「自社に合った就業規則」の重要性が増していると言えます。

就業規則の構成

企業の規模(従業員数、拠点数等)や職種によっても様々ですが、最低限として、以下の種類の規程は、整えておいた方が良いでしょう。

なお、これらすべてをひっくるめて、「就業規則」と言います。

【就業規則の構成】

  •  就業規則本則 (労働時間や休日、退職のこと等、基本的な内容を記載)
  •  賃金規程(給与規程)
  •  ※パートタイマーや契約社員がいる場合は、それぞれの就業規則本則と賃金規程
  •  育児介護休業規程
  •  定年後再雇用規程
  •  無期転換社員規程
  •  慶弔見舞金規程(※法的義務ではないが、合った方が良い)

このほかに、退職金制度がある場合は、退職金規程、短時間正社員がいる場合は短時間正社員規程など、企業によって必要なものをプラスしていくことになり、よりしっかりした会社を目指すのであれば、かなり多くのことを制定する必要が出てくると言えるでしょう。

【規則でガチガチに固めたくない、という方へ】

たまに、「規則を細かく作ってしまうと、逆にガチガチになって働きづらくなるので、最低限の内容だけにしておきたいです」という方がいらっしゃいます。

お気持ちはよく分かりますが、答えとしては「ノー」となります。さらに言うと、「日頃の業務はガチガチにする必要は全然ないですが、紙面に落とし込む規則は、でガチガチにしない書き方で、きっちりと内容を作りこみましょう」という回答になります。

具体的には、「原則として・・・」という言葉をふんだんに盛り込み、「原則」と「例外」を分けておくなどといった対方法をとったりします。

なぜかというと、これも「問題社員」が現れてしまったときの対応になります。

例えば、「うちは、自分と小学生までの子どもの誕生日は、誕生日が到来する月の好きな日に、特別休暇を与えている」という、従業員にとって素晴らしい会社だったとしましょう。多くの人が、仕事との兼ね合いで、仲間に迷惑がかからないようにお休みを取るでしょう。しかし、中には、「退職前に有給を全部使って退職するけど、その期間中の誕生日休暇も入れて請求しよう」という人が出てきたとします。 「いやいや、これはあくまでも勤めている人のための休暇だから」と、いわば当たり前の主張を事業主が言ったとしても、就業規則に「退職することが決まっている人は原則として除く」というような文言が記載されていなければ、与えなければならないことになります。

このように、従業員との解釈の違いで、様々な衝突が起きてしまうことがあるのです。

「就業規則をしっかりと作る=ガチガチの規則で固める」ということではないのです。例外的なことが起きてしまったときに、堂々と対処できるよう、「自由でガチガチにしない職場」ほど、実はしっかりと作りこんだ就業規則が必要だったりするのです。

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